仕事中の交通事故は労災保険と自賠責のどちらを使うか?

仕事中の交通事故は労災保険と自賠責のどちらを使うか?

このエントリーをはてなブックマークに追加  

タクシーの運転手や配送ドライバーなどは、仕事中に交通事故に遭う可能性が高いですよね。もしくは、通勤途中でも車にはねられて、怪我をすることがあるかもしれません。

 

実際に事故を起こしたときに気になるのが、労災保険と自賠責保険のどちらを使うのかということでしょう。通勤途中や仕事中の自動車事故なら、労災保険で治療することができます。

 

しかし、相手の自賠責保険からも補償がおりますから、どっちが得になるのか分からない人もいるはずです。ここでは、労災保険と自賠責を比較しているので、参考にしてみてください。

 

仕事中の交通事故は労災保険と自賠責のどちらを使うか?

 

自賠責保険と労災保険の違い

 

まずは、自賠責と労災の補償範囲の違いを理解しましょう。

 

自賠責保険
傷害 最高120万円
後遺障害 最高4,000万円
死亡 最高3,000万円

 

傷害の場合だと、かなり少ないですね。治療費や慰謝料などを含めると、120万円では足りないことが多いです。ただ、相手が任意保険に加入しているのであれば、さらに補償額は数千万円以上に上がります。

 

 

労災保険
治療費 自己負担なし
休業損害補償 怪我が治るまで8割補償

 

労災保険では、限度額はありませんので、怪我が治るまで補償を受けることができます。相手が任意保険に加入しておらず、治療費が高額になりそうなら労災保険の方が安心できるでしょう。

 

 

自賠責を使ってから労災に切り替えるのがお得!

 

仕事中に交通事故に巻き込まれた場合は、労災保険でも自賠責保険でも使うことができます。ただし、両方ともを使うことはできません。自賠責保険は国土交通省、労災保険は厚生労働省の管轄です。

 

つまり、両方の保険を使ってしまうと、国に対して二重請求をすることになります。そのため、どちらか一方を選択しなくてはいけないわけですね。

 

政府の指針としては、交通事故の場合には自賠責保険を使用することを推奨しています。実際、自賠責だと仮渡金や慰謝料の請求ができるので、労災よりもメリットが多いようです。

 

 

ただ、自賠責保険を使用してから、後で労災保険に切り替えることはできます。この場合だと、自賠責保険で請求した分は、労災保険から控除されることになるわけです。

 

なので、自賠責保険の傷害の限度額は120万円ですが、それを超えた部分に関しては労災保険から受け取ることもできます。先に自賠責を使ってから、労災に切り替えることで受け取れる金額を最大化できるでしょう。

 

 

休業損害補償を多くもらう方法

 

自賠責と労災のどちらでも、休業補償を受け取ることができます。しかし、内容が少し異なっています。

 

自賠責保険 過去3か月間の平均賃金の100%
労災保険 過去3か月間の平均賃金の80%

 

つまり、過去3か月間の平均賃金が30万円だとすれば、自賠責保険で30万円、労災保険で24万円をもらえるわけです。自賠責保険の方が高額なので、お得になるということですね。

 

 

さらに、自賠責保険から労災保険に切り替えることで、「休業特別支給金」をもらうことができます。先に述べたように、労災保険の休業補償は「過去3か月間の平均賃金の80%」です。

 

この80%の内訳としては、次のようになっています。

 

休業補償給付 60%
休業特別支給金 20%

 

自賠責保険の休業補償を受けている人は、労災保険の「休業補償給付」を受けることができません。しかし、労働基準監督署に申請するだけで、20%に相当する「休業特別支給金」をもらうことができるわけです。

 

 

労災を使ったほうが良いケースもある

 

といっても、自賠責よりも労災を使うべき状況もあります。それは、以下のようなケースですね。

 

  • 自分の過失が70%を超えるとき
  • 示談交渉が長くなりそうなとき
  • 車の所有者が運行供用者責任を認めないとき
  • 事故相手が無保険・任意保険に入っていないとき

 

 

自分の過失が70%を超えるとき

 

自賠責保険では、「重過失減額」という制度があります。これは、被害者の過失が70%を超える時には、賠償額が減額されてしまう制度のことです。過失度によって20〜50%の減額となるので、損になるわけですね。

 

労災保険であれば、被害者に過失があっても減額されません。だから、信号無視で事故に遭った場合などは、労災を優先的に使うようにしましょう。

 

 

示談交渉が長くなりそうなとき

 

自賠責保険では、示談交渉が終わらないと損害賠償を受けることができません。示談前でも仮渡金を受け取ることができますが、限度額があるので治療費が高額になると足りない可能性があります。

 

しかし、労災保険では示談前でも保険金がおりるので、治療費などに充てることができるわけです。すぐに示談が決まらなそうであれば、労災を使った方が良いと思います。

 

 

車の所有者が運行供用者責任を認めないとき

 

自賠責保険は、車の所有者が事故を起こしたときに、被害者へ損害賠償するための保険です。なので、盗難された車などと事故をしたときには、本来の所有者が責任を認めない可能性が高いでしょう。

 

所有者からすると、「盗んだ奴が悪いんでしょ」ということになるからです。なので、自賠責保険を使って賠償してくれないかもしれません。

 

そこで揉めても解決しませんから、労災保険を使った方が良いと思います。

 

 

事故相手が無保険・対人保険に入っていないとき

 

自賠責に加入しない車は違法なのですが、そういった人も少なくないのが現状です。事故の加害者には刑事罰が下りますが、被害者には何の補償もされません。加害者に賠償請求をしても、支払い能力が無ければ意味がないでしょう。

 

そんな時には、労災保険を使うしか選択肢がありません。治療費や休業補償を受けられるので、事故後の生活に困ることは無いはずです。

 

 

 

状況によって、自賠責と労災を使い分けるようにしましょう。一刻も早く怪我を治して職場復帰することが大切なので、満足のいく補償が受けられるようにしてください。

このエントリーをはてなブックマークに追加